小松市文化協会事務局長 松本 進
現在国の政策により、全国で中学校部活動の地域移行が進められようとしています。 部活動の地域移行には以下の2つの背景があります。1つは少子化による中学生数減少です。これまで中学生にとっての部活動の選択肢は、ほとんどが学校に開設されていた部活動でした。しかし少子化が進むにつれて、特に小規模校では極端に部活動の選択肢が少なくなり、個性や適性を生かした望む活動が選択される環境にあったとは言い難い面があります。もう1つは、これまで学校教職員により部活動は運営されていましたが、その過重負担が問題視されており、中には過労死レベルに至っているケースの指摘もあって、働き方の改革が求められていることです。
小松市では令和7年9月以降、土曜の中学校運動部活動は地域に委ねられます。しかし文化芸術系である吹奏楽部については、今年度内は従来通り活動できますが、次年度から運動部活動と同様に地域に移行させることを予定しています。
これを受けて、指導者選定、派遣について打診されている小松市吹奏楽協会では、今の小松市の中学校吹奏楽部員すべてを地域で受け入れることは困難であると見ています。部員数が多く十分な活動のできている吹奏楽部については、当面は兼職兼業の教員、部活動指導員、外部講師等を確保して、学校単位での吹奏楽部を継続していくことになるでしょう。でもいずれは地域クラブとしての吹奏楽団体の設立が必要になってくると思います。地域吹奏楽クラブの設立当初は土曜日の活動から始め、学校吹奏楽部と兼ねて活動してよいことにし、徐々に活動を拡大させていけばよいと思います。
文化芸術活動は多様であり、これまで吹奏楽の選択肢しかなかった時代から、個性や適性に合った活動が自由に選べる時代へと進んでほしいと思います。
小松の文化芸術活動を概観しますと、すでに地域クラブとして小・中・高校生で活動している合唱団体があります。また小松市では、こまつ歌舞伎未来塾として能楽、歌舞伎、義太夫、邦楽の教室が、そして民間主宰者によるいわゆる習い事として、ピアノやその他の楽器、民謡・民舞、茶道・華道、詩吟、和太鼓、日本舞踊、ダンス・バレエ、演劇・ミュージカル、絵画、工芸などの教室やサークルが存在しています。これらの団体や教室が部活動に代わる地域クラブとして、中学生にとっての選択肢になります。
すなわち部活動の地域移行により、運動系も文化芸術系も、これまでの学校部活動より選択肢が増えるというメリットを生み出すことが大切です。(地域移行実施先行自治体に概ね共通している方針の一つ) 小松市でもこれまでも学校に開設されていない種目については外部の団体を部活動として選ぶことは可能でした。
文化協会加盟団体の中には、子どもたちへの指導をすでに行っている団体があります。小学校への訪問事業も新たに始まりました。ですから、文化芸術活動を行っている小松市文化協会加盟団体には子どもたちの活動をも受け入れることのできる組織力と指導力が求められていると考えます。そのことにより団体の活性化に繋げ、教育行政と連携して中学生と団体の双方にメリットをもたらす文化芸術活動の在り方とその環境整備を考えて行かなければなりません。
また今後、文化系の地域クラブに関しての事務・経理には、文化協会事務局も一定の役割を担っていくことになります。